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空間反転対称性の破れた超伝導体におけるトポロジカルなエッジ状態

矢田圭司 氏
Keiji Yada
名古屋大学 大学院工学研究科

2011年3月18日 10時30分 理学館614

近年、様々な空間反転対称性の破れた系において超伝導が発見されており、その超伝導状態について多くの関心が集まっている。空間反転対称性の 破れた系においては、系の固有状態はパリティの固有状態にならないため、偶パリティのスピン一重項と奇パリティのスピン三重項のペアの混成状 態が実現すると言われている。ペアポテンシャルの対称性を決める上で、表面におけるAndreev束縛状態を調べることは重要な問題である。 我々は、空間反転対称性の破れた系においてスピン一重項とスピン三重項のペアが混成した状態における表面状態について調べた。s+p波、 dx2-y2+f波、dxy+p波の3種類のペアポテンシャルを考慮して、それぞれ表面の表面状態について調べた結果、dxy+p波の場合に特異なゼロエネルギー状態が現れることが分かった。このゼロエネルギー状態の縮退度は巻きつき数と呼ばれるトポロジカル不変量の一種を用いて数えることが可能である。このことから、dxy+p波に現れる特異なゼロエネルギー状態は時間反転対称性と粒子-ホール対称性によって保護された安定な状態であることが分かった。