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α-BEDT-TTFと(TTM-TTP)I3における電荷不均化とゆらぎ

薬師 久弥 氏
Kyuya Yakushi
豊田理研 フェロー

2011年7月8日 16時30分 理学館415

(1)α-ET塩の電荷秩序、不均化、電荷秩序ゆらぎについて

α-(ET)2I3の各サイトにおける価電子数(正孔数)を分子の価数に敏感なC=C伸縮振動をプローブとして見積もった。電荷秩序状態、常圧金属相、高圧ゼロギャップ相においてどのように変化するかについて紹介する。比較のために、α-(ET)MHg(SCN)4(M=NH4, K, Rb, Tl)および常圧金属相、ならびに高圧ゼロギャップ相のθ-(ET)2I3についても結果を紹介する。この他、α-(ET)2I3とα-(ET)MHg(SCN)4の金属相における電荷秩序ゆらぎについてのべる。

(2)(TTM-TTP)I3の相転移について

(TTM-TTP)I3は120-160Kの間で金属相から絶縁相へ徐々に変化する。この温度で超格子が発生し、分子の対称心が結晶の対称心から外れる。これに伴って、分子の対称性の低下に伴う赤外とラマンの交互禁制則が破れるという異常な現象を見出した。また、光学伝導度についても実験結果を紹介する。