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Ru酸化物における軌道揺らぎと電子ネマティック相 -繰り込み群による解析-

土射津昌久 氏
Masahisa Tsuchiizu
名古屋大学 大学院理学研究科

2012年10月12日 13時30分 理学館614

Sr_{3}Ru_{2}O_{7}で観測された電子ネマティック相の起源を明らかにするため、我々はRuの(d_{xz},d_{yz})軌道に着目し、2軌道Hubbard模型を解析した。乱雑位相近似においては、強的(q=0)な軌道揺らぎの発達は見られないが、繰り込み群を用いて軌道感受率を解析した結果[1]、電子ネマティック状態に対応する軌道感受率のq=0のモードのみが低温で強く増強することが得られた。また、この起源として、スピン揺らぎあるいは超伝導ゆらぎが、Aslamazov-Larkin型のバーテックス補正を通して、強的軌道揺らぎを増強することを明らかにした。この結果は、自己無撞着にバーテックス補正を取り込むSC-VC法の結果[2]ともコンシステントである。

[1] M. Tsuchiizu, S. Onari, and H. Kontani, arXiv:1209.3664.
[2] Y. Ono, M. Tsuchiizu, S. Onari, and H. Kontani, arXiv:1209.3629