2017年4月20日(木) 16時00分 理学館506
銅酸化物における高温超伝導は発見から30年ほど経過するが、超伝導が発現する機構は未解明のままである。電子同士の強いクーロン相互作用により、電子が動けなくなったモット絶縁体にキャリアをドープすると、高温超伝導のような多彩な物性が発現する。このような強相関電子系では、電子は様々な相互作用に支配され、多体問題になっており、電子状態を記述することは難しい問題である。 複雑な電子状態に実験的に迫るには、固体内部から電子を直接取り出して分析する光電子分光法が有効である。電子のエネルギーバンドやフェルミ面などの「バンド理論」の枠組みを超えて、超伝導ギャップや電子間相互作用など多体物理に実験的にアプローチすることができる。とくに電子が受ける多体相互作用を表す「自己エネルギー」を実験的に分析することで、強相関電子系の電子状態を理解する試みを紹介する。 (本セミナーはIGERセミナーと共催です.ポスターはこちら.)