2023年6月8日(木) 14:00~ 理学館506
強い光のもとで物質が示す応答、すなわち非線形光学応答は基礎物理と工学的応用の双方において重要であり、長い研究の歴史をもつ。一方で、近年の物性物理学の研究において物質中電子の幾何学的位相の効果に着目することで、物質の示す量子相や応答現象についての深い理解が得られることがわかってきた。物質中電子の幾何学的位相に駆動された非線形応答現象としては、シフト電流とよばれるバルク光起電力効果がしられている。シフト電流は、現代的な電子分極理論と密接に関連する非線形光学効果であり、高効率太陽電池や光検出器への応用を念頭に近年急速に研究が進展している。本講演では、幾何学的な非線形効果であるシフト電流について紹介し、電子間相互作用のある系へのシフト電流の拡張について最近の研究の進展を紹介する。
*本コロキウムは 第40回QLCセミナーおよび 名古屋大学の特別講義談話会を兼ねています。